労働慣行
全従業員が自身の能力を存分に発揮し働くことができるよう、安心かつ安全で快適な職場環境の整備を行うなど、適正な労働慣行の維持に努めています。
ディ・エム・シーは、従業員個々が多様性を生かすことができる企業風土を目指し、ダイバーシティを推進しています。年齢、性別、国籍、障がいの有無、宗教・文化の違いを超えて、全従業員が、生き生きと活躍できる企業であるために、相互理解を大切にしています。そうした土壌にこそ、多様化するお客様のニーズに応えられる新しく柔軟な発想が生まれるとともに、優秀な人材の確保にもつながると考えています。
人事データ
| 範囲 | 単位 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | カバー率 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 男性 | 女性 | 合計 | 男性 | 女性 | 合計 | 男性 | 女性 | 合計 | ||||
- * 2021年より、NKKスイッチズ(株)のタッチパネル製造部門の譲渡を受けたいわき工場を集計範囲に追加しています。また、2023年には、シーズウェアとの合併によって従業員数が増加しています
- * カバー率は人数ベースで算出しており、2024年度の情報となります
- * 新卒採用人数、中途採用人数、離職率は2024年度の数値となります。その他は、2024年12月31日時点の数値となります
ダイバーシティの推進
女性の活躍推進
ディ・エム・シーは、女性活躍推進に取り組んでおり、女性の積極的な採用を進めています。性別によらない共通の基準で採用し、採用後も性別を問わない人材育成プログラムや適材適所の配置でキャリア形成を支援しています。2024年度には女性活躍推進法に基づき、男女ともに育児しやすくワークライフバランスが整った職場環境づくりを目指して、育児休業・有給休暇の取得を促進するため、2025年4月から2028年3月までの行動計画を策定しました。育児・介護休業制度の周知徹底、男性社員の育児休業取得促進、管理職向けイクボス研修の継続実施、テレワーク制度の改善に取り組みます。有給休暇取得率向上に向けて、男性の育児休業や有給休暇の取得率を公表し、取得を奨励します。
継続(再雇用)制度
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再雇用比率(%)
2022年 2023年 2024年 -
当社およびディ・エム・シーいわきでは、豊富な経験や技術を持つ従業員が、定年退職した後もその能力を発揮できるしくみとして再雇用制度を設けています。高い意欲を持ち一定の要件を満たす場合に適用され、65歳まで働くことができます。2024年度における再雇用率は100%(カバー率42%)です。当社グループのように高い技術が求められる業種において、豊富な知識や経験を備えるシニア社員を定年退職により失うことは当社グループとしても大きな損失であり、競争力の低下につながる可能性があります。若い世代への教育・指導を担う重要な人材として、積極的にシニア社員を活用し、技術力の向上に取り組んでいます。
障がい者雇用の推進
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障がい者雇用比率(%)
2022年 2023年 2024年 -
当社およびディ・エム・シーいわきでは、障がいのある人が社会で働く権利を尊重し、障がい者の雇用を推進しています。2024年12月末時点の障がい者雇用率は、1.61%(カバー率42%)でした。今後も取り組みを継続し、雇用率の向上を目指します。
* 2023年度の雇用率については遡及修正しています
最低賃金や生活賃金に対する方針
各国における最低賃金の定めを遵守し、それを上回る賃金を支払うことを基本的な方針としています。
ワーク・ライフ・バランスの推進
基本的な考え方
当社グループは、従業員一人ひとりが、それぞれの家族の状況に応じて仕事と家庭のバランスをとり、安心して働くことができる職場環境の中で多様な働き方ができるよう、社内制度の充実を図っています。また、働き方改革を通じて、働きがいや生産性の向上を図っています。
適正な労働時間への取り組み
ディ・エム・シーでは、就業規則や労使協定に基づき、労働時間の適正管理と過重労働の防止に取り組んでいます。2022年7月からオンラインの勤怠管理システムを導入し、労働時間を効率的に把握し、従業員の月次労働時間を確実にモニタリングしています。基準を超えそうな従業員には個別に注意喚起を行い、過重労働の防止を徹底しています。また時間外労働に対しては、法定に則った給与規則に基づき、公正かつ適正な支払いを遵守しています。
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国内
- 2024年度の従業員一人当たりの平均月間時間外労働時間は5.3時間で、2024年度目標である国内月平均8時間以下の目標を達成しました。有給取得率は89.3%となり、90%以上という目標は未達となりました。
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海外
- インドネシア工場では、従業員の健康を配慮し、1日の時間外労働を3時間以内に定め、毎日部門ごとにデータ管理をしています。業務終了時には、各部門長が確認を行い、上限を超えないよう徹底しています。有給休暇取得率については、2024年度は86.3%となり、90%以上という目標は未達となりました。
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有給休暇取得率(%)
2022年度 2023年度 2024年度 -
平均月間時間外労働-1名あたり(時間)
2022年度 2023年度 2024年度 -
総労働時間(時間)
2022年度 2023年度 2024年度
在宅勤務の導入
在宅勤務は多様な働き方につながると考え、勤務状況に応じた部分的な適用として導入しています。今後は在宅勤務の継続で浮かび上がった問題点や改善点を十分に検証し、規定や申請・承認方法、対象範囲などを本格導入の是非と併せて検討していく方針です。
育児・介護の両立サポート
当社グループで働く従業員が、育児や介護など、それぞれのライフステージにおいて、安心して長期間勤務できるよう国内のグループ企業で育児・介護休業、時間単位の育児休業制度を導入しています。育児・介護休業法の改正に応じて、子の看護、休暇・介護休暇の時間単位の取得や「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度などの運用を開始しました。
経験を積んだ有能な従業員に継続して勤務してもらうことは、当社の企業価値を高めることにもつながると考え、育児や介護を必要とする従業員に対しては、部門長が面談を実施し、状況を把握した上で、柔軟な対応をしています。2024年度は、男性社員の取得はなく、女性社員3名が育児休業制度を、男性社員1名が介護休業制度を利用しました。
従業員満足度調査の実施
インドネシア工場では、年に2回、従業員満足度調査を実施し、労働環境の改善に努めています。調査は、総務人事部門の機能、会社経営陣の運営方針と戦略、会社組織の在り方と運営、リーダーシップ、労働環境の5つの項目に対し、アンケート形式で派遣社員を含めた全従業員に回答をお願いしています。結果については全従業員へフィードバックを行い、評価の悪い項目についてはKPIを立て、PDCAを回しながら改善を図っています。2024年度も引き続き、従業員の能力向上と上司が部下を公平に評価するための研修を実施し、従業員のモチベーションアップに取り組みました。また、インドネシア工場では従業員とのコミュニケーションを高めるため、月1回の朝食会(参加者120名程度/回)を実施し、経営層との情報共有を行っています。
人材育成
ディ・エム・シーグループは、従業員が持つ潜在能力や可能性を信じ、一人ひとりが能力を発揮し、成長を促進することを目指し、社内の教育体制や制度の整備に取り組みます。
管理体制・運用状況
ディ・エム・シーは、「夢のある企業の永続的な発展を通じて社会に貢献し、事業に関わる全ての人々とその家族の幸福を追求する」という、アスコグループのスローガンを実現するマインドの醸成や、能力開発・キャリアアップを図る制度やツールを整え、事業活動を支える人材を育成しています。
年間教育訓練計画としてのスキルマップ
従業員一人ひとりに対し、年間の教育訓練としてスキルマップを作成しています。個人ごとのスキルアップのゴールを設定し、四半期ごとに目標と実績を確認し、チャレンジシート(個人別評価用シート:業績、コンピテンシー、スキルの3つの項目)を使って、目標に対する成果と反省を行い、四半期ごとに部門長面談により状況を把握しています。従業員ごとのスキルは、部門の一般項目と専門項目にて、目標を立て、スキルマップの一部にチャレンジシートのスキル目標が含まれます。
チャレンジシートに基づいた人事評価
チャレンジシートに基づいた人事評価部分は、本人の自己評価と部門長の評価が四半期ごとに記録されます。最終の人事評価については従業員(正社員のみ)の目標達成度は、年1回以上の部門・人事面談で、部門長および人事担当が確認し、年度評価を実施しています。インドネシア工場でも、バランススコアカードを活用した人事評価制度により、個人の評価や人材教育に力を入れています。
業務に関わる専門知識などの取得支援
ディ・エム・シーが製造するタッチパネルには、高い専門的技術力が数多く集約されています。高い品質の製品をお客様に提供し続けることができるよう、法律で定められた資格の取得など業務遂行に必要な技能養成を支援しています。
グループ階層別研修
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2022年度 2023年度 2024年度 * 2023年度の数値を遡及修正しました
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当社グループでは、「管理監督者研修」「評価者研修」「初級管理職研修」「新入社員研修」からなる階層別のグループ研修を、アスコグループ共通の内容で、各社または合同で定期的に実施しています。また、これまで管理職(課長以上)を対象としていた管理監督者研修を次期管理職候補(係長)も含めることで、早期の意識醸成を図り、優れた人材の育成に取り組んでいます。2024年度は、ディ・エム・シー単体とインドネシア工場において次の通り、研修を実施しました。
| 研修のカテゴリ | 研修名 | 対象地域 | 対象範囲 | 研修内容 |
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グローバル人材の育成
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語学研修の概要
開催地 内容 -
海外でも事業を展開するディ・エム・シーは、グローバルに活躍できる人材を育成するため、自国以外で業務を経験させる制度、インドネシア工場従業員の日本国内工場における技能実習制度、日本の技術者がインドネシアの工場で指導を行う制度を整備するとともに、インドネシア工場において異文化交流を目的としたイベントなどを開催しています。これらの取り組みにより、全社で品質向上などに関する意見交換が自由闊達に行われる風土が根付き、日本とインドネシアで同等の品質基準で製造することが可能になっています。
また、本社とインドネシア工場間で円滑なコミュニケーションを図ることができるよう、インドネシアでは日本語を習得する制度を設けています。なお、2024年度は、技術部門でのコミュニケーションをより高めるため、週1回の外部講師による日本語研修を実施しました。
労働安全衛生
当社グループは、人材は宝という考えのもと、従業員の安全と健康は全てに優先する職場風土をつくり出し、安全快適で生き生きと働くことができる職場環境の整備を目指していきます。
管理体制・運用状況
国内拠点では労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制の確立を図るため、安全衛生管理者の配置、安全衛生推進体制の整備、安全衛生改善の提案、安全衛生教育、健康保持増進といった措置を推進しています。安全衛生委員会を原則毎月1回開催し、労働者の危険または健康障害を防止するための基本対策を審議しています。産業医は安全衛生委員会に出席し、作業環境の改善や健康に関する助言・指導を行うとともに、事業所内を巡回し作業方法または衛生状態が懸念されるときは、直ちに労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じる権限を持っています。インドネシア工場では、安全管理委員会を設置し、工場で勤務する全従業員に対する安全面、衛生面の確保に努めています。また、業務担当者は安全技術レポートを作成し、3カ月に1回の頻度で上層部へ報告しています。
2024年4月の化学物質の取扱いに関する労働安全衛生法の改正への対応として、勉強会を実施しながら対応を決定し、必要に応じて外部セミナーを受講するなど、適切な対応を行っています。2025年4月の改正にも対応済みで、対象は各事業の標準化会議の参加や安全衛生委員会の参加メンバーとして、そこから課内に展開しています。
労働災害の防止への取り組み
当社グループは、安全衛生管理体制のもと、労働災害の未然防止を目指して以下の取り組みを行っています。
過去事例の共有
毎月、安全衛生委員会のメンバーを対象に、実際には労働災害には至らなかったものの「ヒヤリ」「ハッとした」「キケン」な事例の共有や、職場での定期的なリスクアセスメントを行い、職場における潜在的な危険性または有害性を特定し除去・低減を図っています。
5S安全パトロール
5S安全パトロールの一環として、危険箇所・不安全箇所、過去に労働災害が生じたエリアの定期巡回を実施して「改善要求書」を発行し、期限内改善を目指しています。国内外の各工場では、社長や5Sメンバーや現場責任者による製造現場のパトロールを定期的に実施しており、注意が必要な箇所を全て作業マニュアルに反映して、現場で作業する従業員の安全意識向上に努めています。
以上の取り組みの結果、2024年度の重大な労働災害発生件数は、0件(グループ)でした。このほか日常的な労働災害防止の取り組みとともに緊急事故の対応として、エッチング工程で使用している酸とアルカリの溶剤が中和されずに外部へ流出したことを想定したマニュアルを作成し、年1回の訓練を実施しています。
| 範囲 | 単位 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | カバー率 |
|---|
- ※1 労働災害度数率:100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表します。
- ※2 労働災害強度率:1,000延実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表します。
従業員の健康維持
従業員一人ひとりが心身ともに健康を保ち、生き生きと働き続けられる職場環境づくりに努めています。健康診断を年に1回、工場勤務の従業員に対しては年2回実施し、有所見者に対しては、産業医との面談や指導を行うほか、従業員からの相談体制も整備しています。2024年度の受診率はグループ全体で100%でした。
さらに、インドネシア工場では、工場建屋内の2階にクリニックを設置して、健康に関する相談があればクリニックを受診するよう、従業員の健康維持に努めています。さらに、快適な職場環境の形成のため、敷地内の緑化運動を展開し、約200本の草花植樹を進めています。%でした。
メンタルヘルス
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
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国内においては、労働安全衛生法で定められた医師による従業員のストレスチェックを実施しています。心理的負担の程度を把握し、必要に応じ医師からの面接指導や就業上の措置を行うことで、メンタル不調の防止に取り組んでいます。2024年度の国内におけるストレスチェック受検率は94%でした。インドネシア工場においては、社内に設置しているクリニックがメンタルヘルスの一次窓口として対応しています。