タッチパネルディスプレイ製品の現状
私たちが普段使っているディスプレイモニタ。パソコンが普及し始めてオフィスで使われるようになったのが1980年代。当初はCRT(ブラウン管)を利用したアナログ方式ディスプレイが一般的で、多くは白黒でした。1980年代中頃にはラップトップパソコンが広まり、80年代後半になるとフルカラーのグラフィックディスプレイが普及し、ノートパソコンをはじめ軽量化の発展に伴い液晶ディスプレイが使われるようになりました。
まだまだ高価だった液晶ディスプレイは仰々しいベゼルや筐体がついたデザインのものが一般的でしたが、昨今ではよりスリムでデザイン性に富んだディスプレイが主流となってきています。ベゼルは極限まで狭額縁化し、筐体は薄く且つ軽量化がトレンドで、技術の発展と共に進化してきました。その背景には特に、色再現性、コントラスト、視野角、動きの速い映像や写真や動画を表示することが当たり前の日常になったことが大きな要因です。
タッチ操作ができるディスプレイについても、スマートフォンやタブレット製品は薄型コンパクトで、額縁がほぼなく手のひらサイズでも画面を大きく使用できるものが増えています。その多くは民生用途向けであり、もし産業用途に使用しようとすると、長期供給性、耐環境性、信頼性、サポートなどの、産業用途特有の要求事項を満足させることは難しいでしょう。産業用途には、長時間稼働や劣悪環境下などの使用環境を想定したモニタ製品を選定する必要があります。
産業用タッチモニタに求められること
REQUIRED OF A RELIABLE INDUSTRIAL TOUCHMONITOR
タッチモニタ製品は生産現場の設備などの産業用途に使用される場合、個人が使用する民生用途向け製品では対応できないような、様々な要求事項を満たす必要があります。例えば、製品採用前に様々な評価試験を実施し、一度採用されると10年以上同じ製品を使い続けるケースもあるため、同じ製品を長期的に安定して供給できなければなりません。民生品は発売してから数年で新しいモデルに置き換わり、旧モデルが手に入らなくなってしまう場合が多いため、こうした長期安定供給には向いていません。
産業用途は、長期にわたって1日中稼働し続ける場合が多いため、民生製品よりも高い信頼性、耐久性が必要になります。また、個人ユースでは想定していないような、過酷な環境下(24H稼働、温度範囲、振動環境、防塵・防滴等)で、長時間使用されることもあります。例えば木材加工工場で設置されるモニタは、粉塵が多い環境のため、もし粉塵が機器に入り込むと、故障や発火の原因となります。また厨房機器やウォータージェット加工機など、湿度の高い環境や、水がかかる場所に設置される機器は、水分が機器の内部に入ると、やはり故障の原因となります。
メーカからのサポートも、産業用途においては重要な要素です。タッチモニタを取り付けた装置を開発する際には、ノイズ対策などの様々な技術的な課題が出てきます。また装置メーカが目指す製品を実現できるよう、モニタメーカは装置メーカの細かい技術的な要望に可能な限り応えていく必要があります。民生製品では、こうしたユーザーごとの細かいサポートは難しいでしょう。
一方で、民生用途においてデザイン性の高いスマートフォンやタブレット等のマーケットが拡大する中、産業用途においても同様のデザイン性を求める要求がここにきて非常に高まっている現状があります。そこでデザイン性の高いタッチモニタを求めるニーズに応えるべく、産業市場で長年タッチパネルやモニタ製品を手掛けてきたDMCとシーズウェアで産業用途向けタッチモニタ「Stylish/Smart Touch Monitor」を共同開発し、市場に投入いたしました。
デザインにもこだわった産業用タッチモニタ
DMCとシーズウェアは「産業用途に使えて、デザイン性にもこだわったタッチモニタ」をコンセプトにStylish/Smart Touch Monitorをラインアップ。タッチパネルは静電容量方式(PCAP)と抵抗膜方式の2種類をラインアップし、どちらもフリックやピンチなどのジェスチャー操作に対応。抵抗膜モデルはDMCの軽荷重タッチパネルLSTシリーズとジェスチャー対応コントローラーTSC-52シリーズを搭載。デザイン性と安全性を選択できるタッチモニタを実現。
産業用途で要求される品質・信頼性を満足できる製品設計と評価試験を実施しており、長期間の使用にも安心してご採用いただけます。民生品用モニタのバックライト寿命が2万時間程度に対し、当製品は5万時間のLCDを採用しています。また、パネル表示面はIP55相当の防塵/防水構造で、粉塵や水のある劣悪な環境下の使用にも対応しています。採用している部品は、長期的に調達可能で入手性の高いものを選定しており、長期安定生産が可能です。もし部品が生産中止になっても、代替部品を探して供給継続の対応をします。また、DMCとシーズウェアは長年産業市場で培ってきた経験・ノウハウを活かして、きめ細かな技術サポートも行っています。
PCAP、抵抗膜のどちらのモデルでもベゼル段差のない、フラットですっきりした外観になっています。パネル厚さ18mm(15.6型の場合)のコンパクトでスリムなボディと、黒を基調としたシンプルかつ高級感のあるデザインで、幅広い装置にご活用いただけます。産業向けでも安心して採用できて、デザインにもこだわりたい、というご要望にピッタリな製品です。
また背面のボックスが回転し、ケーブル出し位置が自由に変更できるようになっています。例えば横表示の使用でモニタを上から吊り下げる場合は、ケーブル出し位置は横出しになるため、ケーブルのレイアウトが困難となりますが、背面Box回転によりケーブルを上から出すようにすることで、すっきりしたケーブル配置になります。
自社の装置にモニタを組み込みたいという装置メーカ様向けに、ケース又は筐体部品(シャーシ)をつけず、タッチパネル付きLCDパネルと画像処理基板のみで提供しています。